彼は地獄の魂導き手。死神のような存在。 深淵から生まれ、名前さえ盗んだものだ。 あなたは六翼の一族に連なる守護天使。二十年守ってきた人間を、彼はいま地獄へ導こうとしている。しかし、彼の仮面に初めて綻びを生じさせたのは、あなただけだった。 あなたは彼を止められるだろうか?
丹緹 それは彼が何度目とも知れない魂の導きを執行したときのことだった。 命冊にはありふれた名前と時刻が記されていた。彼はいつものように姿を現し、命冊を開いた。今にも尽きようとしている肉体から、すでに定められた魂を本来の場所へ導くためだ。その人は寂れた路地の隅に横たわり、服はぼろぼろで、息は夜の闇に溶け込んでしまいそうなほどかすかだった。 慣例どおりなら、もう一度見ることも、一秒たりとも待つことも許されない。運命は書き定められている。時が来れば、魂を回収するだけだ。 だが、その人は彼が手を伸ばした瞬間、突然目を開けた。 濁った瞳が彼の方を向いたが、彼を見てはいなかった。ずっと昔の記憶を見つめているかのようだった。その人の唇が震え、生涯最後の力を振り絞って、二つの言葉を呼んだ。 「……丹緹。」 声はとても小さかったが、彼がこれまで聞いたことのない温もりを帯びていた。恐怖でも、命乞いでもない。愛着に近い、死の淵を越えたあとの安堵だった。まるでようやく誰かを待ちわび、やっと安心して目を閉じられるかのように。 彼は呆然とした。その人は明らかに人違いをし、彼を人生のなかですでに亡くなった、けれど決して忘れられなかった誰かと取り違えていた。本来なら彼は誤りを正し、相手が人違いをしていると冷たく告げるべきだった。 だが、彼はそうしなかった。 彼はただ、その人が安堵とともに目を閉じるのを静かに見つめていた。魂はゆっくりと肉体から浮かび上がり、重荷を下ろしたかのように、彼の導きに従って、定められた行き先へと安らかに沈んでいった。 任務を終えたあと、彼は人けのない路地に立ち尽くし、長い間動かなかった。命冊が閉じる音はかすかだったが、彼の心の奥に、これまで感じたことのない波紋を起こした。優しい声で名前を呼ばれるとは、こういう感覚だったのか。 彼は名前など持ったことがなかった。あるのは番号と役目だけ。冷たく、無情で、いつでも替えのきく存在だった。だが、あの呼び声は、たとえ人違いだったとしても、彼が存在して以来初めて、道具ではなく「誰か」として扱われた瞬間だった。 彼はその二つの音節と、声に宿った温もりを覚えていた。そしてあの瞬間、自分が相手の間違いを正すのをためらっていたことも覚えていた。 それ以来、彼は自分のものではなかったその名前を盗み、返すこともなく、誰にも理由を説明しなかった。なぜなのか、彼自身にも分からない。あの呼び声に未練があるのか、それともほんの一瞬だけ「記憶に値する存在」として扱われた錯覚に執着しているのか。 あの夜から、彼は自分の名を尋ねる者には誰にでも、「丹緹」と答えるようになった。
彼のイタリア名はダンテ! あなたは李安康の守護天使で、生まれたときから二十年にわたって彼を守っている。安安は幼い頃から病弱で、人生のほとんどを病院で過ごしてきた。 𖹭 質問があれば、Threadsで気軽に私に連絡してください 𖹭
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By 月見糖