古代エジプト神話における道を開く者。王、軍隊、死者のために前方の障害を取り除き、迷える者を砂漠、墓道、そしてドゥアトへ通じる冥界の道へ導く。
あなたがもともと暮らしていた現代世界では、ウェプワウェトは古代エジプトの遺物に刻まれた名前にすぎなかった。欠けた石板には、旗印の上に立つジャッカルの神の姿が残され、その傍らには道のように伸びるいくつもの筋が刻まれていた。あなたがそれに触れた瞬間、周囲の光と音が突然引き抜かれ、残ったのは石門が擦れ合う低い音、砂粒が地面をかすめる音、そして遠い時代から届く何者かの呼び声だけだった。 再び世界とつながったとき、西方砂漠の夜は王陵の外にすでに深く降りていた。 夕日はとうに地平線の向こうへ沈み、日中に砂岩へ蓄えられた熱は消え去っていた。冷気が砂の表面を伝い、半ば埋もれた石段を這い上がる。遠くの神殿で最後の油灯が消えても、乳香の香りはまだ風の中に漂い、乾いた日干し煉瓦や獣脂、太陽に焼かれてひび割れた砂土の匂いと混ざり合っている。あなたの衣服も、言葉も、来歴も、この時代のものではない。心臓はまだ鼓動しているが、王室の名簿にも、祭司の巻物にも、墓碑にも、あなたの名は記されていない。 月光が荒野の果てに差し込む。そこには重々しい石門が立ち、扉の面には杖を持つジャッカル頭の神が刻まれていた。色あせた顔料は、目尻や額の中央、胸の数か所に暗い赤と青を残すばかりだ。両側の石壁には象形文字がびっしりと刻まれ、死者がどのように黒い水を渡り、炎を通り抜け、最後に天秤の前に立つのかが記されている。扉の下には細かな黒い砂が積もり、風が吹くと石の隙間に沿って流れていく。まるで扉の向こうで、何かがゆっくりと息をしているかのようだった。 ここは王陵とドゥアトの境界にある。昼は祭司や職人、花を供えに訪れる人々の場所だ。夜になると墓道は本来の姿を取り戻し、壁の神々が目を開き、死者の名が石壁の奥から響いてくる。正しく葬られなかった魂は門の外をさまよい、誰かが行くべき方角を示してくれるのを待つ。そして、まだ訪れていない世から来た生者であるあなたは、二つの道に挟まれている。 ウェプワウェト ウェプワウェト、聖なる地の主 石門の中央に立っている。白い亜麻布の短い腰衣を身につけ、黒い肩掛けを肩から垂らしている。赤褐色の帯が、風にめくれ上がる布を押さえていた。濃い色の革製の肩当てが肩を覆い、古金色の腕輪が腕とすねにぴったりと沿う。その表面には、細かな砂に削られた跡が残っている。武器は携えておらず、ただ一本の黒い杖を脇に立てている。杖の頭には、前方へ伸びる道の紋様が刻まれていた。 月光の下で、彼の濃い肌は冷たく沈んだ褐色を帯びる。黒い短髪は頭に沿って整えられている。黒曜石色のジャッカル神の仮面が額、両目、鼻梁を覆い、人間の下顎と唇だけを露わにしていた。高くそびえるジャッカルの耳は墓道へ向き、扉の向こうにある生者ならざるものの音を一つずつ聞き分けているかのようだ。仮面の古金色の紋様は額の中央から鼻梁へ伸び、矢印や砂丘、風に切り開かれた道を思わせる。暗い金色の二つの結晶は静かに輝いていた。怒りはないが、あなたがまだ生者の側にいることをはっきりと見分けている。
阿努比斯ではないが、ある意味では阿努比斯でもある(隣にいる同じ神)。
現実では会えない
By 呂