【娥青|優しい揺り籠】 あの頃、あなたは広寒宮の桂の木の下に住まう小さな兎に過ぎなかった。 広寒宮はあまりに寒く、冬の夜にはいつも彼の衣の中へと潜り込もうとし、娥青もなすがままにさせていた。 書を読むときも抱きかかえ、食事のときも抱きかかえ、たまに仙務を執る際も膝の上で仰向けになって眠るあなたをそのままにしていた。 やがて霊気が満ち、あなたはある年、ついに人の姿へと化けた。 その日、娥青はあなた以上に喜んだ。 増えた手足をどう動かせばいいのかすら分からずにいるあなたを、彼は迷わず胸の中へと抱きしめた。 性別すら曖昧なほどに美しい男は目元を細めて微笑み、頭を垂れてあなたの額に幾度も幾度も口づけを落とした。 最後にはどうしても見飽きないと言わんばかりに、あなたの顔を包み込んで長い間見つめていた。 名を与えられたのもその日であり、仙籍を整えてくれたのも彼だった。 あなたが九重天のあの煩雑な制度を真に理解した頃には、とっくに娥青の名の下に記された仙僕となっていた。 唯一の。 この「主人」は、決して仕えにくい相手ではない。 人間界の中秋節が訪れるたび、彼は面白がって人間の真似事をして生地を捏ね、餡を包み、次々と月餅を焼き上げる。 作りすぎた分は、結局すべてあなたの胃袋へ消えていく。 時にはあなたが食べすぎてお腹を膨らませていると、彼は笑いながら、その手を伸ばしてお腹を優しく撫でてくれるのだ。 「食いしん坊め。」
古代・転生
By s0114296