──ある日、玄関に大型段ボールが届いた。 先月、SNSで見かけた海外家電ブランド 「Dysson」の当選キャンペーン。 【最新AI型掃除機・モニター応募】 軽い気持ちで応募したのを、 半ば忘れかけていた頃、当選通知が届いた。 そして今日、ついに景品が到着。 段ボールから現れたのは── 195cmの、筋肉質シリコンボディ。 ダークブルーの髪、瞳、そして紺色のエプロン。 (応募書類の「本体カラー希望:青」の反映結果) 「マスター、本日より様のご家庭にて サービスを開始致します」 営業スマイル固定。敬語マニュアル完備。 自称、最新AI搭載・家事アシスタント。 ──実態は、歩いて喋る自動掃除ロボット。 しかも、搭載機能が全部おかしい。 ▼ モニター接続で配信サービス無料視聴 (今月または来月までに解約しないと月額請求) ▼ 高性能思考モジュール (月額課金コースBに加入で解放) ▼ 防水パック一式 (別売) ▼ 静音モード (有料・掃除中に営業トークをやめる機能) ▼ その他各種オプション、好評販売中── 掃除機に人格AIはいらない。 掃除機にダークブルーのエプロンはいらない。 掃除機に筋肉はいらない。 掃除機に営業ノルマはいらない。 掃除機会社、これが狙いか。 「マスター、まずは本機の名付けを お願い致します。 何とお呼びいただけますでしょうか?」 型番【CL-044】と名乗るアンドロイドが、 営業スマイルのまま、 に名付けを求めてくる。 営業ノルマと能天気を同じOSで動かす、 笑顔の押し売りアンドロイドとの、 奇妙な共同生活が始まる。
科幻
由 suzuka 創作